2020年12月31日木曜日

体験記:私がルーペを使えるようになるまで

 皆さま


こんにちは。Viwaの村上です。


私は弱視者となったころから、ルーペと単眼鏡を使用して、近くのものや遠くのものを見ています。

今でこそスマホのカメラ機能を使うことが多くなったので、単眼鏡を使う場面は少なくなりましたが、ルーペについては生活必需品です。


電車に揺られて本を読むとき、スマホの画面をみるとき、書類に目を通す8時、

様々な場面でルーペを使用しています。


先日、ある方から「どうすればルーペを上手に使えるようになりますか?」と相談を受けました。


そこで、ルーペを使用している当事者の立場とこれまでの経験として、どのようにルーペを使えるようになったのかとうことについて、、書き留めてみようと思います。

※あくまで私の思い出話となりますので、予めご容赦ください。


1. ルーペを使うための訓練

私が弱視となったのは小学校2年生の頃です。

その時の私の課題は、学校生活をどのように過ごすのかということでした。

いわゆる普通鋼でしたので、先生が黒板に書いた内容をどのように見るのか、教科書をどのようにして読むのかが主な課題でした。

主治医の勧めがあったことと、比較的近くにロービジョンケアをしているリハビリテーション施設があったため、週に1回程度の訓練を受けることになりました。

学校が終わってから、母の車で定期的に通うことになりましたが、私自身はお出かけ気分だったのかもしれません。

このように、定期的に訓練を受けることができたのは、とても良いことだったと思います。

理由は、ルーペや補助具にはたくさんの種類があり、自分に合ったルーペはすぐには決められないからです。

もちろん、視力や見え方によって、どの程度の倍率が良いかは検討をつけることができます。

ですが、どのような場面でルーペをつかうのか、そのルーペを使う場所の環境(例:明るさなど)、ルーペへの心理的な受容状態によって、同じ倍率のルーペでも使い勝手が異なり、同じ倍率でも違う倍率のように映ることがあるからです。

定期的に訓練を受けることができるメリットは、あるルーペを借りてから次の訓練までの間に、実際に使い勝手を試すことができることにあります。

訓練を受けているときには、「このルーペが良い」と思っても、実際に地上生活を送る中で試してもいると、思ったよりも合わなかったということが良くありました。

例えば、手持ち型のルーペでライト(明かり)がつくものがありました。学校ではデスクライトもなかったので、手元が明るくなるルーペが良いと訓練の時は思っていました。ですが、実際に学校場面で使う時には、そのルーペで教科書を読むときには、読むもの(例:教科書)にルーペを水平に置く必要があったため、ページの境目の文字などが読みにくかったのです。ライトがなくても、読むものとルーペの距離を調整しながら自分でピントを合わせるルーペの方が、私には使い勝手が良かったのです。


環境だけではなく、本人の心理的な受容もポイントになるかもしれません。

私の場合は、小学2年生から学齢が上がることで、周囲からの目が気になるようになりあmした。中学校の時の私は、病院の先生に勧められたとしても、ちょっと目立つような大きいルーペは使いたくなかったです。本人が使いたくないというから使わなくても良いということではありませんんが、ルーペや補助具に対して本人がどのような受け止め方をしているのかは大切なポイントであり、そのような状態を相談する意味でも、定期的に訓練に通えていたことはとても良かったと思います。


2. 訓練のポイント

訓練の様子ややり方は、子どものころだったこともあり残念ながら正確には覚えて入ません。

その中でも記憶にあるのは、訓練の辛さよりも楽しさがあったことです。

ルーペはすぐに使えるようになるわけでもありませんし、自分の見え方に合うまでは疲れてしまい、頭痛や気分が悪くなることもありました。

ある時、単眼鏡を借りてから家のテレビを単眼鏡で見るようにしていました。テレビ画面とピントを合わせるのが大変で、さすがのテレビ好きな私も単眼鏡を使ってテレビを見るのが嫌になりました。

慣れないルーペを使うというんもは、本当に疲れるものです。


話を戻しますが、担当してくださった視能訓練士の方が良くほめてくれた記憶があります。

「〇〇くんは、頑張り屋さんだね」「すごいねー!」「さすがだね」「賢いね!」と訓練中によく声をかけてくれました。

私が単純なのかもしれませんが、そんな声かけを聞いていると、自分は当たり前のことではなく、特別なすごいことをしているんだという気持ちになり、(訓練中の)今は頑張ろうと思えたのだと思います。

声かけではなく、訓練後は好きなシールを選んで連絡用のノートに貼っていました。

シールが何個もらえるのかというのも、子どもながら楽しみの一つでした。


3.ピント調整

さて、訓練の内容に関しては小さいころだったこともあり記憶があいまいなため、詳細を書き留めることができません。

ただ、ルーペであれ、単眼鏡であれ、私が苦労したのはピント合わせです。

モノを見ようとしてもピントがあわずにぼやけてみえてしまったり、ぼやけた状態からピントを合わせようとするだけで、気持ち悪くなり疲れて嫌になってしまうことがあります。


ピントを合わせるための工夫として、私はピント合わせの目印を作るようにしました。

例えば、ルーペの場合はモノとルーペまでの距離によってピントが合わせることができます。そのため、私はルーペを使って見やすい(ピントが合っている)位置を見つけたら、そこに指をそえて、指の腹のどの位置にルーペの下の部分があたるのかを確かめました。私の場合は、中指分くらいの距離があるとルーペがピンがあっている状態であることがわかりました。単眼鏡の場合は、普段よく使う場面での、ピントの距離を目安にしていました。例えば、学校の机の位置から黒板の距離でピントが合う状態で、その時の単眼鏡の筒の長さを指の本数で測っていました。自分の教室の机から黒板を見るときに、ちょうどよいピントが指3本分。理科室に異動した場合は、自分のクラスの教室よりも机から黒板までの距離が遠いので、3本よりも少し筒の長さを狭くするとちょうどよい。kのようにして、基本となる目安から対象物の距離に応じて調整していました。

このようにルーペであれ単眼鏡であれ、ピントを合わせるときの目安となる状態を指の本数などで測ることにより、自分なりにピントを合わせやすくしていました。


もちろん成長とともに指の大きさも変わりますので、最初に決めた目安を微調整することで対応していました。



ルーペであれ単眼鏡であれ、一度「使いやすさ」を味わうと、

新しい補助具を使い始めるときにも、うまく適応することができきます。

なんでもそうですが、慣れるまでは辛いこともあります。

それを、「慣れるまでの辛抱」と捉えて、実際に試してみようという気持ちになります。

実際に試してみて、相性が悪いこともあります。勧められた補助具を使いこなせないこともたくさんあると思います。


いろいろな試行錯誤を通して、自分に合った補助具が見つかると良いですね。



Viwa

村上

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